- 生後約3週齢から12週齢までの期間を指す
- あらゆる物事を素直に受け入れることが出来る期間
- 性格形成に大きく影響のある期間
犬は生後約1年ほどで成犬になりますが、その中でも社会化期と呼ばれる期間は子犬があらゆる物事を素直に受け入れることが出来る、とても大切な期間です。この時期に、トレーニングをして人間社会で生きる上で必要な社会性を学ぶ(社会化トレーニングをする)必要があります。
社会性を身につけるためには:
- 人に慣らそう!
- 物に慣らそう!
- 他の犬に慣らそう!
- 外の世界に慣らそう!
※トレーニング内容はのちほど具体的にご紹介します。
社会性を身につけなかった犬は、性格に問題が出てくることがあります。例えば、家族以外の人や他の犬を極端にこわがったり、外出先でトラブルを起こしてしまうことがあります。「恐怖心のあまり他の犬に噛み付いてしまった」なんてこともあるのです。
一方できちんと社会性を身につけた犬は、些細なことに動じない、落ち着きのある社交的な犬になっていきます。
社会化期はたった数週間。この時期をどう過ごせば良いのか、確認しましょう!
Contents
犬が成長していく過程について
まずはじめに、「社会化期」が子犬の成長過程のどこに位置付けられるのかを確認しておきましょう。
子犬が成犬になるまでの成長過程は大きく5段階に分けることができます。
成長過程5段階 ※時期は目安
- 新生児期:出生〜2週齢
- 移行期 :2週齢〜3週齢
- 社会化期:3週齢〜12週齢
- 若齢期 :12週齢〜6ヶ月齢
- 性成熟期:6ヶ月齢〜12ヶ月齢
それぞれの特徴をご紹介していきます。
新生児期:出生〜2週齢
出生から2週齢ごろまでを「新生児期」と呼びます。この時期の子犬は、ミルクを飲むことと眠ることの繰り返しです。
- 目を開いておらず、見えていない / 耳も聞こえていない
- 肌の感覚・嗅覚が備わり、母乳にたどり着ける
- 自分で排泄出来ないので、母犬が舐めることで排泄をする
移行期:2週齢〜3週齢
2週齢から3週齢ごろまでを「移行期」と呼びます。この時期の子犬は、寝床の中でヨチヨチ歩きが出来ます。
- うっすらと目が開きはじめる / 耳も発達しはじめる
- 光や動くものなど、外部からの刺激に反応するようになる
- 脳が急速に発達する
- 移行期後半には自分で排泄出来るようになる
- 親兄弟と遊び始める
社会化期:3週齢〜12週齢
3週齢から12週齢ごろまでを「社会化期」と呼びます。この時期の子犬は、親兄弟と遊びながら社会性(相手との関わり方・順位制など)を身につけていきます。
- 目や耳、身体の機能がしっかりしはじめる
- 好奇心が旺盛になる
- 乳歯が生え揃い、離乳食を開始出来る(5週齢ごろから)
- ペットショップなどで販売されるようになる
若齢期:12週齢〜6ヶ月齢
12週齢から6ヶ月齢ごろまでを「若齢期」と呼びます。この時期の子犬は、体力もついてきて元気いっぱいに遊びまわります。
- 体格が大きくなり、運動能力も発達する
- 警戒心・恐怖心が芽生え、初めての出来事などに慎重になる
性成熟期:6ヶ月齢〜12ヶ月齢
6ヶ月齢から12ヶ月齢ごろまでを「性成熟期」と呼びます。この時期を迎えた犬は身体の成長がほぼ完了となります。
- 永久歯の42本がすべて生え揃う(生後7ヶ月ごろ)
- オスはマーキングをしはじめ、メスはヒートがはじまる
- 交配と出産が可能になる
犬の社会化トレーニング〜慣らすモノ・コトいろいろ〜
そこで、順応性の高い社会化期に、子犬が今後接触するであろう物事・環境に触れさせ、慣らしていくというわけです。
この時期に未知の経験をたくさんしていないと、のちにこわがりな犬・トラブルを起こしやすい犬になってしまいます。
どんな経験をさせれば良いのか、社会性を身につけるためのトレーニング内容を具体的に見てみましょう。
社会性を身につけるためには
- 人に慣らそう!
- 物に慣らそう!
- 他の犬に慣らそう!
- 外の世界に慣らそう!
人に慣らそう!
まずは家族が優しく撫でる、抱っこをするなどの触れ合いをして、それに慣れてきたらよその人にも積極的に会わせてみましょう。
男性、女性、子供、お年寄り、めがね、帽子、ひげなど、あらゆるタイプの人に触れ合ってもらい、人をこわがらない犬にします。友人や近所の人を家に招いてみるのも良いですね。
よその人が触れ合うには、家族が抱っこした状態でおやつを与えてもらうと良いでしょう。だんだんその人に慣れてきたら、優しく背中を撫でてもらいます。頭を撫でるとこわがる犬もいるので注意してください。
怯えているようであれば、最初は目を合わせずに少しずつ近づいてもらうのがオススメです。その後、犬に手の甲の匂いをかがせ、おやつを与えてもらいましょう。
物に慣らそう!
犬の場合は聴力が優れているので、特に音の出る物には敏感に反応します。例えばドライヤーや掃除機は、大きな音だけにとどまらず風も出てきますよね。さらにそれを飼い主さんが動かして使うわけですから、犬の恐怖を煽ってしまいます。
恐怖を感じて吠えたり噛みついたりする犬も少なくありません。
慣れさせるためには、犬が楽しく遊んでいる時に少しずつ音を聞かせるのが効果的です。「大きな音がしても大丈夫」ということを徐々に理解させましょう。この時無理矢理近づけたりするのはNGです。
また、音が出るものや風の出るものなどには、スイッチを切った状態から慣れさせていくという方法もあります。
掃除機を慣れさせるための手順(例):
- 1人がスイッチを切った状態で掃除機をかける真似をする
- 吠えたり噛みついたりしなければ別の人がご褒美を与える
- 掃除機を気にしていなければ、遠くの方で音を出して徐々に近づける
他の犬に慣らそう!
散歩出来るようになったら、他の犬と積極的に対面させましょう。最初のうちは同じぐらいの子犬や、きちんとしつけられている成犬と遊ばせるのがオススメです。ただし、他の犬と遊ばせるときは相手の飼い主さんの了承を得てください。リードをしっかりと持ち、少しずつ近づければトラブルを回避できます。
子犬のしつけ教室やパピーパーティなど子犬が集まるところに連れいくのも良いですね。
外の世界に慣らそう!
せっかく犬を家族として迎えたからには、一緒におでかけをしてたくさんの思い出を作りたいものです。そのためには、新しい環境に怯えない犬にする必要があります。
まずは室内で出来ることとして、抱っこをして窓の外を見せてあげることがオススメです。外の匂いや風を感じたり、鳥の鳴き声や車のクラクションの音を聞いたりと、子犬にとっては未経験のことばかりですので、不安にならないよう声をかけながら慣らしていきましょう。怖がって足を突っ張ったりすることがありますが、そんな時は窓を開けずに少し離れたところから外を見せてあげるだけで大丈夫です。
基本的に、ワクチン接種が済むまでは散歩をさせてはいけません。免疫力が十分でない子犬が、野良猫や他の犬の排泄物が残る地面を歩くと伝染病にかかる可能性があるからです。かといってこの時期に子犬を外に出さないと、社会性が身につかないまま成長し、将来的に弊害が出てきてしまいます。
ワクチン接種の前でも、飼い主さんが抱っこしたりキャリーバッグにいれて外に連れ出す分には問題ありません。伝染病に感染しないよう十分に配慮した上で、早いうちから積極的に外の世界を見せてあげましょう。
さいごに
- 生後約3週齢から12週齢までの期間を指す
- あらゆる物事を素直に受け入れることが出来る期間
- 性格形成に大きく影響のある期間
- 人・物・他の犬・外の世界に慣らして快適に過ごそう!
犬が社会性をきちんと身につければトラブルが減り、犬も飼い主さんもより快適に過ごせるようになるはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました🐩💕
少しでも参考になったら嬉しいです。